特大


段ボール箱製造作業読本

はじめに

段ボール産業は、わが国の経済発展、国民生活の充実向上とともに、近年著しい展開を遂げ、昭和54年度において遂に「1兆円産業」の仲間入りを果しました。と同時に、わが国の段ボール製造技術水準は、戦前から戦後にかけて多くを欧米先進諸国から学びつつも、単に欧米技術の真似ごとに終らず、独自の改良工夫と、新しい技術発展、発明を積み重ね、今日では鉄鋼・自動車・家電などの花形産業とも全く同様に、世界最高の技術的地位を確立するに至っております。

従って、今日では、優秀技術は他の国から借りて必要をみたすのではなく、わが国企業自身の日常の工夫改良と新たな発明努力によってのみ新しい前人未踏の世界が開かれるという、技術史上はじめての体験がはじまったところであります。

段ボール産業の発展も、基本は「箱を作る」という単純な事柄から出発します。しかし、「よりよいもの」を作る必要と決心がある限り、それは決して簡単な事柄ではありません。

本書は、段ボール製造業のそうした原点に立って、箱ボール箱をつくるための「標準作業読本」を心掛けて編さんしたものであります。表現はあくまでも簡潔に要領よく整頓し、同時に、基本にあげられる必要かつ重要な事柄をすべて網羅いたしました。

勿論、「段ボール箱の製造」の基本的技能知識に限っても、わずか100頁あまりにすべて百科辞典のように収録するのは不可能であります。従いまして、本書の第一の編さん目的であります各企業体での研修用教材としてのご使用においては、講師の方々による実地体験をふまえたお話によって、本書の簡潔な記述の行間を埋めていただかねばなりません。本書はそういう「使われ方」を前提として編さんされました。

また、昭和53年度から、紙器・段ボール箱製造業が新たに技能検定職種の指定を受け、この国家試験制度が、技能士の養成を通じて、紙器・段ボール箱製造技術の発展に大きな刺激をもたらしていることは大変喜ばしいことであります。しかし、その一方で、このための研修に必要な教材の不備がいわれ、多くの優れた技能者が、実技では優秀な成績をおさめながら、学科で失敗するという誠に残念なことも多々あり、そうした事態の改善に実際に役立つ教材でありたいというのが、本書の第二の編さん目的であります。職業訓練法にもとづき中央職業能力開発協会を通じて行なわれる技能検定試験においては、本書に記述された知識がマスターされる限り、必ずや良い結果があげられるものと確信いたします。なぜなら、本書は技能検定制度の本来の目的・趣旨・検定の対象となる技能の範囲に添う段ボール箱製造知識をすべて網羅しているからであります。

そういう意味におきまして、本書がいささかでも実務上のお役に立つなら、この上なくよろこばしいことと思う次第であります。

昭和55年11月