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第11章 段ボール箱の加工法

段ボール箱に使用される段ボールの種類は、箱の使用目的により選定される。(第4章段ボールの材料を参照)
外装用段ボール箱は、内容商品の寸法、重量に基づき設計される。一般的な基準は、JISに示されている包装制限が一つの水準となっている。(JIS・Z-1506参照)
設計に基づき段ボールの必要寸法が求められるが、その手順は「第6章2寸法の決定手順」を参照されたい。

1.スリット作業
製函の断裁工程に使用されるスリッタ(断裁機)は、通常、スリット(断裁)およびスコア(罫線入れ)の2つの工程を行なう。最近はコルゲータの段ボール製造工程で、ワンラインでスリット、スコアを加工することが多く、量産方式ではスリッタを使用することが少くなっている。スリット作業では、切断面(切り口)が美しく、正確な寸法で断裁されなければならない。また、印刷面となるライナを損傷してはならない。
(1)上下ナイフが正しくセットされ、噛み合い深さは、段ボールの厚さの2分の1程度に調整する。
(2)段ボールが主軸と直角に送られるよう定規に圧着させる。(正しい直角度)。
現場の作業では、これらのことがチェックされなければならない。スリットの落ちしろを、中央部で折り曲げて平行度をみたり、切断面のひび割れをチェックすることが必要である。ひび割れの原因の1つとして、上下刃の直径が異なるための円周速度の差によるものがある。(研磨による径の差)
(3)点検には、必ず運転を停めて安全に心掛け、また、運転開始時には異常音や振動に注意することが大切である。

2.スコア作業
通常、段に直角に入れる罫線をスコア(横けい)、段に平行に入れる罫線をクリーズ(縦けい)と呼んでいる。罫線は、フラップの折り曲げのため加工されるものであるから、折り曲げが容易で、直線に正しく曲がり、かつ、ライナの亀裂があってはならない。罫線の位置は、箱の寸法精度に関係するもので、正しい寸法位置に加工されることは云うまでもない。
上下罫線ロールの噛み合いが正しくセットされ、加工する罫線圧も適正でなければならない。最近、罫線圧、罫線ロール形状等、罫線加工に関する技術研究も進められているが、段ボール箱の圧縮強度に関連する要因として注目されている。
(1)罫線圧が強すぎる場合
罫線圧は、上下罫線ロールの間隙調整によるが、理論的には、A段、B段、AB段では当然異なる。作業標準として設定すべき項目である。
罫線が強すぎれば、ライナに亀裂が入り、罫線割れとなる。
(2)罫線圧が弱すぎる場合
罫線圧が弱ければ、当然、折り曲げが困難で、片折れの現象ともなる。また、無理に曲げられるため、罫線部に亀裂が入り、けい割れとなる場合もある。一般的には、罫線圧が強すぎると、罫線割れとなる。
(3)罫線ロールのセットミスの場合
罫線ロールのセットミスは、みぞの噛み合せがずれるもので、罫線に亀裂が入るか、片折れの現象となる。片折れは箱を組み立てる場合の障害となる。

3.プリント・スロット作業
プリント(印刷)作業およびスロット(溝切り)作業を、それぞれ単体の機械で加工するものは少なく、プリスロの普及により1台の機械で、印刷、罫線入れ、溝切り、継ぎしろ角切り、および断裁加工を完了する方式が主流となっている。段ボール箱加工機の主体をなすもので、作業としての比重は大きい。通常、速乾性インキを使用する形式のものが多いが、フレキソインキを使用する形式のものも増加しつつある。インキの種類による機構上の相違はあるが、加工機能は同じものである。
フレキソインキを使用する場合は、瞬間乾燥であるため、ダイカッタあるいはフォルダ・グルアと直結が可能である。(フレキソ印刷については前述の印刷の項を参照)
(1)印刷作業(プリント)
通常、速乾性インキが使用され、印版の取付けもセット時間が短く、位置合せも容易なラビット方式が多い。印刷では、段ボールの品質特性を劣化させないことに注意しなければならない。印圧ロールと版胴による段つぶれを出来るだけ少なく、位置ずれその他、印刷の欠陥が発生しないよう調整しなければならない。給紙機構で述べた通り、印圧を掛け過ぎると、段つぶれの原因ともなり、段ボール箱の品質特性として重要な耐圧強度を低下させることになる。
印刷図形により耐圧強度が変化することはよく知られている。また、印圧を強くすると、マージナルゾーンの発生にもつながる。呼出しロール、仲介ロール、練りロール、移しロール等、インキを均一にするために多くのロールが使用されている。これらのロールの調整に注意しなければならない。特に移しロールは、印版にインキを転移するロールであるから、注意が必要である。
印刷位置の修正は、試験刷りを行ない、版胴を微調整により行なうが、上刷り方式と下刷り方式では調整方向が逆になる。
(2)溝切リ作業(スロット)
溝切りは、A形箱のフラップ部の溝切りと接合部の継ぎしろの角切りを行なう作業である。罫線(スコア)まで溝を切り込むが、その深さが浅いと、箱を組み立て、フラップを折り曲げ、封緘する際に、箱の角部(かくぶ)が盛り上がる。反対に溝を深く切りすぎると、角部に隙間が出来ることになる。
溝切りナイフは、常に段ボールの切断面に注意し、磨耗、セット位置等の保守、点検に留意しなければならない。
(3)罫線入れ作業(クリーズ)
通常、段に平行に入れられるが、前述の罫線入れ作業と同様の注意が必要である。

4.ダイカット作業
ダイカット作業で、注意しなければならない事項としては、次のことかある。
(1)刃先に加えられる圧が均等であること
通常、歪みに方向性のない合板が抜型台に使用される。刃先の高さを均等にして、正しい水準にセットしなければならない。
刃の高さに高低があると、均一な加圧が出来ないため、切り口不良の部分が残り、完全に打ち抜くことが出来ない。抜型台に歪みの方向性のない合板を使用するのもこのためである。
(2)罫線には均一な加圧がなされねばならない
前項と同様に、罫線刃の高さを均一にして、不均一な罫線折りとならないようにしなければならない。
(3)ロータリ・ダイカッタ
最近は、高能率化のためロータリ・ダイカッタの設備が増加している。ロータリ・ダイカッタには、ソフトカット方式とハードカツト方式がある
(イ)ソフトカット方式
抜型のセットされたシリンダーに対応するアンビルシリンダーの表面を、ウレタンなどの緩衝材でカバーして、抜型のナイフが喰い込む状態でカットする。ナイフの刃先は鋸刃状のものが使用される。
(ロ)ハードカット方式
抜型のセットされたシリンダーに対応するアンビルシリンダーの表面が、硬度の高い鋼で、ナイフの刃先が接触することによりカットする。ナイフの刃先は直線刃を使用する。

5.接合作業
段ボールの接合方法には、平線(ワイヤ)、テープ、および接着剤(グルー)接合の3つの方法がある。一般的な外装用段ボール箱の接合方法についてはJISに示す水準が基本となっている。
(1)平線接合(ワイヤ接合)
外装用段ボール箱に使用される平線は、JISに定められている1.5mm幅が基準となっている。
作業上の要点は、平線の打ち込み位置および間隔を基準通り正しく仕上げることである。平線の打ち込み位置および本数は、箱の強度に関連する要因である。打ち込まれた平線は、十分に先端が曲げられ、締め付けられねばならない。
(2)テープ接合
外装用段ボール箱に使用されるテープは、JISに定められ、幅が50mm以上が基準となっている。作業上の要点は、テープの接着が完全な状態であることである。接着後、テープを剥離して、ライナの紙層より剥離する状態であれば良い。
(3)接着剤接合(グルー接合)
外装用段ボール箱に使用される接着剤の接合は、平線またはテープ接合と同等以上の接合力をもつものを基準としている。
接合方法は、グルー接合が増加し主流をなすに至っているが、接合力を判定する適正な方法が定められていない。現場において、接合面を剥離して紙層で剥離するものを良としている。
接着剤には、ポリ酢酸ビニールのエマルジョンが多く使用され、グルアに適応した粘度調整を行なっている。グルアの圧着装置により粘度は異なるが、1,000CPS(センチポイズ)から20,000CPS位の範囲がある。接着剤の塗布量と接着速度は、塗布量が多くなれば接着速度は遅くなる。接着剤塗布後の圧着は、圧着力が大きくなれば接着速度は早くなる。
(4)接合作業の要点(間隙と強度)
接合作業の要点は、接合部の間隙(ジョイント・ギャップ)が正常で、箱の仕上り寸法の精度が保たれ、かつ接合強度が十分にある箱に仕上げることにある。
(イ)接合と箱の寸法
外装用段ボール箱の接合部の間隙は、JISにおいては、特別に数値的な基準はない。しかし、内のり寸法の精度許容限界と間隙は関係するので、加工上、許容範囲を定めるのが通常の手法である。
段ボールは、各工場において異なるので、一般的な数字で表わすことは困難であるが、9mm〜3mm位となっている。接合部の間隙は、平行を保ち、罫線位置に段差が出ないようにしなければならない。
(ロ)接合部の接合強度
接合強度は、段ボール箱の品質特性として重要であるが、平線接合を基準に置き、比較されるのが一般である。平線接合の強度は、打ち込み位置と打数により決定される。外装用段ボール箱ではJISに定められた方法が基準となっている。段ボール箱の品質特性として、圧縮強度があるが、接合方法も特性要因の一つと考えられる。一般的なデータとしては少ないが、ワイヤ接合に比較してテープ、グルー接合の方が高い数値を示している。